・夏休み明けに「大学へ行きたくない」と感じるのは、珍しいことではない
・長期休暇から学校生活へ戻るときは、生活リズムだけでなく、気持ちの切り替えにも負担がかかる
・「大学が嫌いだから行きたくない」とは限らず、自由な生活から時間の決まった生活へ戻ることへの抵抗感も関係する
・休み明けからいきなり100%の自分に戻そうとせず、学校生活に少しずつ慣れていくことが大切
夏休みが終わって大学に行きたくないと感じていませんか?
9月を迎え、長かった夏休みもそろそろ終わり。
「もう大学が始まるのか……」
「授業に戻るのがしんどい」
「友達に会うのは嫌じゃないけど、大学には行きたくない」
「夏休み中は元気だったのに、大学が始まると思ったら急に憂うつ」
そんな気持ちになっていませんか?
夏休み中は、起きる時間も寝る時間も、ある程度自由です。旅行をしたり、アルバイトをしたり、友達と遊んだり、実家に帰ったり、何もしない日を作ったり。自分のペースで過ごせる時間が増えていた人も多いでしょう。
ところが夏休みが終わると、時間割を確認して、朝起きて、電車に乗って、授業を受けて、課題をこなして……という生活が再び始まります。
そう考えただけで、「なんかしんどい」と感じてしまうことがあります。
でも、この感覚だけで「大学が嫌いになったのかな」「自分は怠けているのかな」と決めつける必要はありません。
大学が嫌なのではなく「戻ること」がしんどいのかもしれない
夏休み明けに大学へ行きたくなくなると、「大学に行きたくない=大学生活が嫌」というふうに考えてしまいがちです。
でも、必ずしもそうとは限りません。ポイントになるのが、夏休みと大学生活の「差」です。
夏休み中は、自分で時間を決められる場面が多くあります。一方、大学が始まれば、1限がある日は朝早く起きなければならないし、決められた時間に教室へ行く必要があります。
「今日は何をしようかな」と自分で決められていた生活から、「この時間にこれをする」と時間の決まった生活へ戻るわけです。
この変化そのものが、負担になることがあります。
大学へ行きたくないと思ったときに、「大学が嫌なんだ」とすぐに結論を出すのではなく、「もしかしたら今は、休みから戻ることがしんどいだけかもしれない」と考えてみると、自分の状態を少し違った角度から見られるかもしれません。
人は変化するときにエネルギーを使う
一般的に、人は環境や習慣が変化するときに、少なからず負担を感じます。
例えば、旅行から帰ってきた翌日に普段の生活へ戻るのが面倒に感じたり、月曜日の朝に学校や仕事へ行くのが少し億劫になったりするのも、ある意味では「モードを切り替える必要があるから」です。
夏休み明けは、その変化がさらに大きくなります。
数日ではなく、数週間から1か月以上異なる生活をしていたところから、学校生活へ戻るからです。
さらに大学生の場合、夏休み中に生活リズムが大きく変わっていることもあります。
夜中まで起きている。昼近くまで寝る。食事の時間がバラバラになる。アルバイト中心の生活になる。
そんな生活から、「明日から1限だから7時に起きよう」と思っても、身体も気持ちもすぐには追いつかないことがあります。
つまり、夏休み明けに大学生活がしんどく感じるのは、「気合いが足りない」という単純な話ではないのです。
夏休みが楽しかった人ほど戻りたくなくなることもある
もう一つ考えておきたいのが、「夏休みが充実していたからこそ戻りたくない」というケースです。
旅行をした。久しぶりの友達に会った。好きなことに時間を使えた。アルバイトが楽しかった。家でゆっくりできた。
そんな時間を過ごしたあとに授業が始まれば、「もう少しこの生活を続けたかった」と思うのは不思議なことではありません。
これは大学生活に問題があるというより、「自由だった時間が終わることへの寂しさ」に近い場合もあります。
楽しい時間が終わることと、次の生活が嫌いであることは、同じではありません。
「大学に行きたくない」と感じたら、自分は大学が嫌なのか、それとも夏休みが終わるのが嫌なのか、一度分けて考えてみるのもよいでしょう。
何が嫌なのかを細かくすると気持ちが見えやすくなる
「大学に行きたくない」という気持ちは、とても大きな言葉です。
だからこそ、そのまま考えていると「もう全部嫌だ」という気持ちになりやすくなります。
そんなときは、「大学の何が嫌なんだろう?」と少しだけ細かくしてみてください。
朝早く起きるのが嫌なのかもしれない。満員電車に乗るのが嫌なのかもしれない。授業についていけるか心配なのかもしれない。久しぶりに友達に会うのが少し気まずいのかもしれない。課題や就活がまた始まる感覚が重いのかもしれない。
「大学に行きたくない」から「朝起きるのがしんどい」に変われば、数日前から起きる時刻を少しずつ早めたり、朝に光を浴びたりするなどの対策を考えられます。
「久しぶりに友達に会うのが気まずい」なら、仲の良い一人に先に連絡しておく方法もあります。
悩みを小さく分けると、「自分ではどうにもできない大きな問題」から「少し工夫できる問題」に変わることがあります。
休み明けから完璧な大学生活に戻そうとしなくていい
夏休みが終わると、「またちゃんとしなきゃ」と思う人も多いかもしれません。
授業には全部出る。生活リズムを戻す。課題をためない。勉強する。友達とも遊ぶ。アルバイトもする。就活やインターンのことも考える。
大学生は、意外とやることがたくさんあります。
だからこそ、授業が始まった日から全部を完璧に戻そうとすると、学校生活が始まる前から疲れてしまいます。
最初の1週間くらいは、「大学生活に戻るための期間」と考えてみてもよいでしょう。
まずは朝起きる。大学へ行く。授業を受ける。家に帰る。
それだけでも、夏休みとはかなり違う生活です。
そこに勉強、就活、アルバイト、資格取得、運動などを一気に追加する必要はありません。
「前期の自分」に戻らなくてもいい
夏休み明けには、「前期みたいにちゃんとやらなきゃ」と思うこともあります。
でも、夏休みを過ごしたことで、考え方や興味が少し変わっているかもしれません。
前期は楽しいと思っていたことが、今はそれほど楽しくない。逆に、夏休みに経験したことから新しいことに興味を持った。そんな変化があっても不思議ではありません。
だから夏休み明けは、「元の自分に戻る」だけではなく、「今の自分で大学生活をもう一度作る時期」と考えることもできます。
時間割を見ながら、どの日に予定を多く入れるか考える。空きコマの使い方を変えてみる。興味のある授業を一つ見つける。大学のあとに楽しみを作る。
少しだけ自分に合った形に組み直してみることで、「また同じ生活が始まる」という感覚が変わるかもしれません。
大学へ行く日の「楽しみ」を一つだけ作ってみる
学校生活に戻るために、「大学を頑張ること」だけを考える必要はありません。むしろ、大学へ行くことと小さな楽しみをセットにしてみるのも一つの方法です。
大学の近くで好きな飲み物を買う。授業後に友達とランチへ行く。空きコマに好きな音楽を聴く。帰りに本屋へ寄る。
「大学=授業を受けなければいけない場所」だけになっていると、行くこと自体が重く感じやすくなります。
でも、「火曜日は授業のあとに好きなカフェへ行こう」のような予定が一つあるだけで、その日の見え方が少し変わることがあります。
大きなご褒美でなくても構いません。
大学生活の中に「自分がちょっと楽しみなもの」を戻していくことも、学校生活へ慣れていく方法の一つです。
夏休み明けのしんどさと大学そのものの悩みは分けて考える
ただし、「夏休み明けだからしんどい」とすべてを片づける必要もありません。
休みが終わることとは別に、大学生活そのものについて悩んでいる場合もあります。
人間関係がつらい。授業についていけない。専攻が自分に合っているのかわからない。将来への不安が強い。大学へ行こうとすると強い苦痛を感じる。
そんな状態が長く続いている場合や、眠れない、食欲がない、気分の落ち込みが続くなど、日常生活に影響が出ている場合は、「休み明けだから」と我慢し続けるのではなく、大学の学生相談室や保健センター、医療機関など、身近な相談先を利用することも選択肢の一つです。
大切なのは、「大学に行きたくない」という気持ちを無理やり消すことではありません。
なぜそう感じているのかを少しずつ知り、必要に応じて誰かの力を借りることです。
小さな一歩から始めてみましょう
夏休み明けに大学へ行きたくないと感じたら、いきなり「大学生活をちゃんと戻そう」としなくて大丈夫です。
まずは、明日の大学生活を一つだけ楽にすることを考えてみてください。
明日着る服を今日決めておく。時間割を確認する。久しぶりに会う友達へ「明日いる?」と連絡してみる。大学の帰りに行きたい場所を一つ決める。今夜はいつもより少し早めにベッドに入る。
どれか一つで十分です。
夏休みから大学生活へ戻るときに必要なのは、一気に元どおりになることではありません。
少しずつ身体と気持ちを学校のある生活に慣らしていくことです。
「大学に行きたくない」と感じている自分を急いで変えようとするのではなく、まずは「何が少ししんどいんだろう?」と考えてみる。
そこから、明日をほんの少し楽にする方法を一つ選んでみてください。
夏休み明けは、夏休み前の自分に戻るためだけの時期ではありません。
今の自分に合った学校生活を、もう一度作り始める時期にもできます。
あなたが明日の学校生活を少しだけ楽にするために、今日できそうな小さな一歩は何でしょうか?

MeWithを運営するMinds1020Lab(マインズテントゥエンティラボ)は、「なんとなく生きづらい」「心がモヤモヤする」と感じる10代・20代に寄り添いながら、心のはたらきについて研究しているチームです。
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心理学監修:横浜市立大学医学部 客員教授/中央大学文学部 教授 髙瀨堅吉
学生生活や人間関係など、若者が抱える悩みについて、心理学の視点から記事内容を監修しています。


