・就活で企業をたくさん見るほど「どの会社も同じ」に感じることがある
・企業が使う言葉ではなく、「具体的に何をしている会社なのか」まで確認すると違いが見えやすくなる
・会社全体を好きになる必要はなく、「ここは少し気になる」というポイントから企業を見てもいい
・企業選びでは「一番いい会社」を探すより、自分が何を大切にしたいのかと照らし合わせることが大切
説明会を3社聞いたけど、違いがよくわからない
就活を始めて、企業説明会に参加するようになった。
1社目では「若手から挑戦できます」と言われた。2社目では「社員の成長を大切にしています」と説明された。3社目では「風通しの良い社風です」と紹介された。
聞いているときは「いい会社かも」と思う。
でも説明会が終わってから、「結局、何が違うんだろう?」となる。
企業の採用サイトを開いても、「社会に貢献」「挑戦」「成長」「チームワーク」「お客様を大切に」といった言葉が並んでいて、どの会社も魅力的に見える。
そのうち、「自分に合う会社なんてわからない」と企業研究そのものが嫌になってしまう。
就活では、会社を知らないから迷うだけでなく、会社をたくさん知ったからこそ迷うこともあります。
「どの会社も同じ」に見えるのはおかしくない
企業説明会は、その会社を初めて知る学生にもわかりやすいように作られています。
そのため、企業理念、事業内容、仕事内容、研修制度、福利厚生、社員紹介など、説明される項目が似ていることがあります。
さらに、「挑戦できる」「成長できる」「人を大切にする」といった言葉は、一社だけが使うものではありません。
だから、数社の説明会を聞いて「全部同じに聞こえる」と感じても不思議ではありません。
大切なのは、そこで「自分には企業を見る力がない」と考えるのではなく、抽象的な言葉をもう一段具体的にしてみることです。
「若手が活躍しています」の“若手”って何年目?
例えば、「若手社員が活躍できる会社です」という説明。
その言葉だけなら魅力的に聞こえます。
でも、「若手が活躍する」とは具体的にどういう状態でしょうか。
入社1年目から顧客を担当するのか。3年目からプロジェクトリーダーになれるのか。若手でも新規企画を提案できるのか。年齢に関係なく昇進できるのか。
同じ「若手活躍」という言葉でも、中身は会社によって違います。
説明会で気になる言葉が出てきたら、「それって具体的には?」と一段深く見てみる。
それだけで企業の違いが少し見えやすくなります。
「風通しがいい会社」も会社によって意味が違う
就活でよく見る「風通しの良い社風」という言葉。
これも、そのままでは会社を比較しにくい表現です。
上司を役職ではなく名前で呼ぶ。若手でも会議で意見を言える。社長と話す機会がある。部署を越えて相談しやすい。新しい提案を出す制度がある。
どれも「風通しがいい」と表現できるかもしれません。
だから企業を見るときは、言葉そのものよりも、その言葉を説明する具体的なエピソードがあるかを見てみます。
社員インタビューや座談会などで実際の例を探してみるのも一つです。
「企業理念に共感できる会社」を無理に探さなくてもいい
就活では、「企業理念に共感しました」という言葉を聞くことがあります。
すると、「私も企業理念に感動できる会社を探さなきゃ」と思うかもしれません。
でも、採用サイトを初めて読んだ大学生が、すべての企業理念に強い感情を持てるとは限りません。
「言っていることはわかるけど、正直そこまでピンとこない」ということもあるでしょう。
それでも構いません。
企業を見る入口は、理念だけではありません。
商品が好き。仕事内容がおもしろそう。働いている人の話が印象に残った。勤務地が希望と合っている。研修制度が自分に合いそう。
「会社全部が好き」ではなく、一つでも気になるところがあるかから見始めてもいいのです。
「何をしている会社?」を自分の言葉で説明してみる
企業研究でおすすめなのが、その会社について一文で説明してみることです。
例えば、「○○業界の会社」と書くだけではなく、「誰に、何を提供して、どんな課題を解決している会社?」と考えます。
同じIT企業でも、企業向けのシステムを作る会社もあれば、一般消費者向けのサービスを運営する会社もあります。
同じ広告業界でも、テレビCMに強い会社、デジタル広告に強い会社、企業のブランドづくりまで支援する会社などがあります。
業界名だけで見ると似ていますが、「誰に何をしているか」まで見ると違いが出てきます。
「仕事内容」も職種名だけで判断しない
「営業職」「企画職」「マーケティング職」と書かれていても、実際の仕事は会社によって違います。
例えば営業でも、新規顧客へ電話をする営業、既存顧客との関係を深める営業、企業の課題を聞いて提案する営業などがあります。
だから、「営業は嫌」「企画がいい」と職種名だけで判断すると、自分に合う仕事を見落とすことがあります。
説明会では、「入社1年目の社員は一日をどう過ごしているのか」「誰と関わる仕事なのか」「どんな場面で成果を求められるのか」などを見ると、働くイメージが具体的になります。
説明会で全部メモしなくてもいい
説明会に参加すると、スライドに書かれている内容をすべてメモしようとする人もいます。
会社の歴史、売上、事業内容、福利厚生、社員数……。
もちろん必要な情報ではありますが、全部書くことに集中すると、「自分が何を感じたか」が残らないことがあります。
そこで説明会の最後に、3つだけメモしてみてください。
「気になったこと」「もっと知りたいこと」「少し違うかもと思ったこと」。
例えば、「海外事業がおもしろそう」「転勤について詳しく知りたい」「個人営業中心なのは自分には合わないかも」。
企業情報だけでなく、自分の反応を残しておくと、後から比較しやすくなります。
「違和感」も企業選びのヒントになる
企業研究では「魅力を探さなきゃ」と思いがちです。
でも、「なんとなく違う」という感覚も大切な情報です。
社員の話を聞いていて、働き方が自分には合わなそうだった。成果を競う雰囲気が少し苦手だと感じた。転勤が多いと知って不安になった。
その違和感を、「せっかく説明会に参加したし」と無視しなくてもいいのです。
「なぜ違うと思った?」と考えてみると、自分が会社に求めているものが見えてくることがあります。
会社を比較するときは同じ5項目で見る
企業を何社も調べると情報が混ざってしまいます。
そんなときは、毎回同じ項目で比較してみます。
例えば「仕事内容」「働く人・雰囲気」「働き方」「勤務地・条件」「気になったこと」。
この5項目だけでも構いません。
A社は仕事内容が魅力的だけど転勤が多い。B社は仕事内容はまだわからないけれど、社員の雰囲気が好き。C社は勤務地と働き方が理想に近い。
こうして並べると、「全部同じ会社」に見えていた状態から少しずつ違いが見えてきます。
「どっちがいい?」ではなく「何が違う?」と考える
就活中は、すぐに会社を評価しようとしてしまいます。
「A社とB社、どっちがいい会社?」
でも、まだ情報が少ない段階で答えを出すのは難しいものです。
最初は、「どっちがいい?」ではなく、「何が違う?」だけを考えてみてください。
A社は個人で成果を出す働き方が中心。B社はチームでプロジェクトを進める。A社は全国転勤がある。B社は地域が限定されている。
違いがわかってから、「自分はどちらが心地よさそう?」と考えればいいのです。
企業を見ながら自分の基準を作っていけばいい
「企業選びの軸を決めてから会社を探そう」と言われることがあります。
もちろん、自分なりの基準があると探しやすくなります。
でも、最初から完璧な軸を持っていなくても構いません。
説明会へ参加して、「全国転勤は思ったより気になるな」と気づく。社員の話を聞いて、「一人で成果を出すよりチームで働きたいかも」と感じる。
このように、企業を見ることで初めてわかる自分の価値観もあります。
会社を選ぶために自分を知り、自分を知るために会社を見る。
その両方を行き来しながら、少しずつ基準を作っていけばいいのです。
企業研究で疲れたら「見る会社を増やす」のをやめる
会社の違いがわからなくなると、「もっと企業を見ればわかるかも」と思い、さらに説明会を予約することがあります。
でも、情報が増えすぎると余計に混乱することもあります。
そんなときは、新しい企業を探す前に、すでに見た3社を比べてみてください。
「一番気になったのはどこ?」
「逆に、一番違うと思ったのはどこ?」
「その理由は?」
会社を増やすより、一度立ち止まって比較することで、自分の基準が見えてくることがあります。
小さな一歩から始めてみましょう
次に企業説明会へ参加したら、全部を理解しようとしなくて大丈夫です。
説明会が終わったあと、スマホのメモに3つだけ残してみてください。
「気になった」「もっと知りたい」「少し違うかも」
それぞれ一つずつで構いません。
例えば、「海外事業が気になった」「若手の仕事内容をもっと知りたい」「全国転勤は少し違うかも」。
そして3社ほどたまったら、横に並べてみます。
すると、「自分は海外に興味がある」「働く場所をかなり大切にしている」「会社の知名度より仕事内容を見ている」など、自分側の特徴も少しずつ見えてきます。
企業研究は、最初から「運命の一社」を見つける作業ではありません。
会社の違いを知りながら、自分が何を大切にしたいのかを知っていく時間でもあります。
説明会を聞いて全部同じに見えても、焦らなくて大丈夫です。
「どの会社が一番いい?」ではなく、「この会社は他と何が違う?」。
その小さな違いを一つずつ集めながら、自分に合いそうな会社を探していきましょう。

MeWithを運営するMinds1020Lab(マインズテントゥエンティラボ)は、「なんとなく生きづらい」「心がモヤモヤする」と感じる10代・20代に寄り添いながら、心のはたらきについて研究しているチームです。
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心理学監修:横浜市立大学医学部 客員教授/中央大学文学部 教授 髙瀨堅吉
学生生活や人間関係など、若者が抱える悩みについて、心理学の視点から記事内容を監修しています。


