・履修登録で迷うのは「選ぶのが苦手だから」とは限らない
・大学の授業選びでは、単位・興味・時間割・友達・将来など、複数の条件を同時に考えるため迷いやすい
・心理学では、選択肢が増えることで、決断の負担が大きくなる場合があることが報告されている
・「絶対に後悔しない授業」を探すより、自分が何を優先したいのかを決めることが大切
履修登録の画面を開いたのに、全然決められない
後期の履修登録。シラバスを開いて、気になる授業を見つけて、時間割を組んでみる。
でも、「こっちの授業のほうがおもしろそう」「でも、この曜日は休みにしたい」「友達はこっちを取るらしい」「単位を考えたらこっちかな」「将来のためには、この授業も取っておいたほうがいい?」と考えているうちに、何がいいのかわからなくなってしまう。
そんな経験はありませんか?
大学の履修登録は、自分で授業を選べるところが魅力です。一方で、選択の幅が広いからこそ、「自分で決めなければいけない」という難しさもあります。特に後期は、前期の経験がある分、「前期みたいな時間割にはしたくない」「今度こそちゃんと考えて決めたい」という気持ちが強くなり、逆に迷ってしまうこともあります。
履修登録で迷うのは「優柔不断だから」ではない
授業をなかなか決められないと、「自分って優柔不断だな」と思うかもしれません。でも、大学の履修登録で迷うのは不思議なことではありません。なぜなら、一つの授業を選ぶだけでも、実はかなり多くの条件を考えているからです。
内容がおもしろそうか、卒業や進級に必要な科目か、成績評価の方法は自分に合っているか、課題量はどのくらいか、出席の扱いはどうなっているか、朝起きられる時間か、他の授業との間に空きコマができないか、友達はいるか、アルバイトと両立できるか、将来に役立ちそうか。
一つひとつは小さな条件でも、それを全部同時に考えれば、判断が難しくなるのは自然です。
ただし、選択必修や進級・卒業要件、履修できる学年、定員、前提科目などは、自分の好みだけでは決められません。迷ったときは、まず履修要項やシラバスを確認し、必要に応じて大学の教務担当窓口やアカデミック・アドバイザーなどに相談しましょう。
選択肢が多いほど決めることが難しくなる場合がある
心理学では、選択肢が増えることが必ずしも満足につながるとは限らず、状況によっては選ぶ負担や後悔につながることが指摘されています。「自由に選んでいい」と言われると、一見うれしいように感じます。
でも、自由度が高いほど、「もっといい選択があるのでは?」と考えやすくなることがあります。
Aの授業を選んでもBが気になる。Bを選んでもCのほうがよかったかもしれない。こうして比較を続けるうちに、「決めること」そのものに疲れてしまうことがあります。履修登録で何時間もシラバスを行ったり来たりしてしまうのは、このように選択肢が多いことも関係しているかもしれません。
「正解の時間割」を作ろうとしていない?
履修登録で迷っているときに、一度確認したいのが、「絶対に失敗しない時間割を作ろうとしていないか」ということです。内容がおもしろい、無理なく単位取得を目指せる、課題量も自分に合っている、友達もいる、朝も早くない、空きコマもない、将来にも役立つ。そんな授業だけで時間割を組めたら理想的です。
でも、すべての条件を満たす授業が見つかるとは限りません。どこかを優先すれば、どこかは妥協することになるかもしれません。それなのに「全部が完璧な時間割」を作ろうとすると、いつまでも決められなくなってしまいます。
まずは「何を優先したいか」を決めてみる
そんなときにおすすめなのが、授業を選ぶ前に「今学期、自分が何を優先したいか」を考えることです。
例えば、「後期は興味のある分野を見つけたい」という人なら、内容のおもしろさを優先してもいい。「アルバイトや就活と両立したい」という人なら、曜日や課題量を重視してもいい。「卒業に必要な単位が少し心配」という人なら、卒業・進級要件を確認したうえで、必要な科目を履修することが優先になるでしょう。
大切なのは、何を優先するかに唯一の正解があるわけではないということです。今の自分の状況によって、優先順位は変わっていいのです。
「楽単を選ぶのはダメ?」と罪悪感を持たなくていい
履修登録でよくあるのが、「興味だけで選ぶべきなのかな」「負担の軽い授業を選ぶのってよくない?」という迷いです。もちろん大学は学ぶ場所なので、自分が興味を持てる授業を選ぶことには意味があります。ただ、大学生活は授業だけでできているわけではありません。
アルバイトをしている人もいれば、サークルに力を入れている人もいます。資格の勉強をしている人もいれば、インターンや就活を始めている人もいます。その中で、「この曜日は少し負担を減らしたい」と考えること自体が悪いわけではありません。
ただし、いわゆる「楽単」という評判だけで判断すると、実際の授業内容や評価方法が想像と異なることもあります。大切なのは、評判だけで全部を決めることではなく、シラバスで到達目標や授業内容、評価方法を確認したうえで、自分の生活全体とのバランスを考えることです。
友達と同じ授業を取るべき?
履修登録でもう一つ迷いやすいのが、友達との関係です。「友達がこの授業を取るから自分も取ろう」という選び方をしたことがある人もいるでしょう。知っている人がいる授業は安心します。グループワークでも心強いかもしれません。だから、友達と同じ授業を取ること自体は悪いことではありません。
ただ、「本当は別の授業が気になっているのに、一人になるのが怖いから諦める」となっている場合は、一度考えてみてもいいかもしれません。
大学は、自分の興味を広げられる場所でもあります。一人で取った授業で新しい友達ができることもあれば、思っていなかった分野がおもしろくなることもあります。友達と一緒という「安心」と、自分が受けたいという「興味」。
どちらも大切だからこそ、自分は今回どちらを優先したいのかを考えてみましょう。
前期の時間割を振り返ると、自分に合う形が見えてくる
後期の履修を考えるときは、シラバスを見るだけではなく、前期の自分を振り返ってみるのもおすすめです。
例えば、1限をたくさん入れたら思ったよりつらかった。空きコマが2時間ある日は結局何もしなかった。逆に、空きコマで図書館へ行く習慣ができた。授業を詰め込みすぎた日は、帰宅後何もできなかった。午後から授業の日は生活リズムが崩れた。
こうした経験は、次の時間割を作るための重要な情報です。
「大学生として理想的な時間割」ではなく、自分が実際に生活しやすかった時間割を考えてみてください。
未来の自分を少しだけ想像してみる
履修登録画面だけを見ていると、「どの授業がいいか」という比較になりがちです。そんなときは、一度、その時間割で生活している自分を想像してみましょう。
月曜日の朝。この授業に間に合うように起きられそうか。水曜日は授業が5コマ。そのあとアルバイトへ行っても無理はないか。木曜日は空きコマが3時間。自分ならどう過ごしそうか。
「授業名」だけではなく、「その時間割で生活している自分」を想像すると、選び方が変わることがあります。
迷ったら「絶対条件」を3つだけ決める
それでも決められない場合は、自分の条件を3つだけ作ってみてください。例えば、「必修科目や卒業・進級に必要な科目は最優先」「可能であれば週に1日は予定に余裕を持たせる」「興味のある授業を最低1つ入れる」などです。
条件を増やしすぎないことがポイントです。すべてを満たそうとするのではなく、「この3つを満たせば今回はOK」と決める。そうすると、選択肢を絞りやすくなります。
履修登録は「自分の生活を設計すること」
大学の履修登録というと、どの授業を取るかを決める作業のように感じます。でも実際には、これから数か月間をどう過ごすかを決める作業でもあります。
授業を詰め込むのか、自分の時間を作るのか、興味を広げるのか、資格や就活と両立するのか。
だからこそ、「どの授業が一番いいか」だけではなく、「今学期、どんな大学生活を送りたいか」から考えてみることも大切です。
小さな一歩から始めてみましょう
履修登録で迷っているなら、いきなりすべての授業を決めなくても大丈夫です。ただし、登録期限や抽選科目の申込期限は、最初に確認しておきましょう。
そのうえで、まず紙やスマホのメモに、「後期に大切にしたいこと」を3つだけ書いてみてください。
例えば、「卒業や進級に必要な科目を確実に確認する」「週1日は予定に余裕を持たせる」「興味のある授業を一つ受ける」。それだけで構いません。そして、候補の授業をその3つの基準で見てみる。
すべての面で完璧な時間割を作る必要はありません。大学生活は、授業だけでできているわけではないからです。勉強する時間も、友達と過ごす時間も、アルバイトをする時間も、一人で休む時間もあります。その全部を含めて、「今の自分が無理なく過ごせそうか」を考えてみてください。
履修登録で選んでいるのは、授業だけではありません。これから数か月間の、自分の時間の使い方でもあります。だからこそ、「一番正しい時間割」ではなく、「大学のルールを満たしながら、今の自分に合っている時間割」を選んでみてください。

MeWithを運営するMinds1020Lab(マインズテントゥエンティラボ)は、「なんとなく生きづらい」「心がモヤモヤする」と感じる10代・20代に寄り添いながら、心のはたらきについて研究しているチームです。
将来のことや友人関係、自分自身の悩みなど、学生が抱えやすい不安やモヤモヤを少しでも軽くするためのヒントを発信しています。詳しくはMeWith公式サイトをご確認ください。
心理学監修:横浜市立大学医学部 客員教授/中央大学文学部 教授 髙瀨堅吉
学生生活や人間関係など、若者が抱える悩みについて、心理学の視点から記事内容を監修しています。


