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将来の夢がない大学生はどうすればいい?やりたいことが見つからないときの考え方

ペンを持ち悩む様子の男子 ライフスタイル

・大学生になっても、将来の夢ややりたいことが決まっていないのは不自然なことではない
・「夢を見つけなければ」と考え続けることで、かえって自分の興味がわからなくなることもある
・やりたいことは、頭の中で考えるだけでなく、さまざまな経験を通して見つかる場合もある
・「将来何になりたいか」だけではなく、「どのような毎日を送りたいか」から考える方法もある

大学生なのに「将来の夢」がない

「将来何になりたい?」
子どもの頃から、何度も聞かれてきた質問かもしれません。小学生なら「サッカー選手」「先生」「パティシエ」など、なんとなく答えられた。でも大学生になって、いよいよ進路を考える時期になると、逆に何も思いつかない。

周りを見ると、「広告業界に行きたい」「海外で働きたい」「公務員になる」「大学院へ行く」と、自分の進みたい方向を決めている人もいる。それに比べて、自分には特に夢がない。

就活サイトを見ても、どの会社にもそこまで興味を持てない。「やりたい仕事は?」と聞かれてもわからない。そんな状態だと、「大学生なのに、将来やりたいことがないのはまずいのかな」と焦ってしまうことがあります。

でも、将来の夢が決まっていないことと、将来について何も考えていないことは同じではありません。

「夢がない」のではなく、まだ言葉になっていないだけかもしれない

「夢」という言葉を聞くと、大きな目標を想像しやすくなります。起業したい、医師になりたい、世界で活躍したい、研究者になりたい。そんな明確なものがなければ、「自分には夢がない」と思ってしまうかもしれません。

でも実際には、「人と話す仕事は好きかもしれない」「ずっと同じ場所にいる仕事より、動きがあるほうがいい」「海外に関わる仕事は少し気になる」「誰かに喜んでもらえることは好き」といった小さな感覚を持っている人もいます。

それはまだ「将来の夢」という名前がついていないだけで、自分の方向を考える大切な材料です。
最初から職業名まで決める必要はありません。

心理学で考えると「自分を知ること」は経験によって変化していく

私たちは、「本当の自分」という完成された答えをどこかに持っていて、それを見つければ将来が決まる、と考えてしまうことがあります。

でも、自分についての理解は、経験や周囲との関わりによって変化していきます。
大学に入る前は人前で話すのが苦手だと思っていたけれど、ゼミの発表を経験したら意外と楽しかった。接客は向いていないと思っていたけれど、アルバイトを始めたら、お客さんと話すことが好きだと気づいた。海外に興味がなかったけれど、旅行をきっかけに、ほかの文化についてもっと知りたくなった。

実際に経験することで、それまで気づいていなかった自分の興味や得意・不得意が見えてくることがあります。
だから、「やりたいことがわからない」ときに、頭の中だけで完成した答えを探し続ける必要はありません。

やりたいことがないと「就活」が急に難しく感じる

大学3年生になると、夢がないことへの不安が一気に強くなることがあります。就活では「志望業界」「志望動機」「将来のキャリア」などを考える場面が増えるからです。
「そもそもやりたいことがないのに、志望企業なんて決められない」と感じる人もいるでしょう。

でも、就活を始める前に、人生全体の夢まで完成させている必要はありません。
最初は、「これは少し興味がある」「これはあまり合わなそう」という程度でも構いません。企業や仕事について知ること自体が、自分を知る経験になるからです。

一方で、夢が決まるまで就活を始められないと考える必要もありません。応募時期などの必要な情報は確認しながら、企業や仕事について調べる中で、自分の方向を考えていくこともできます。

「好きなことを仕事にしよう」で余計にわからなくなることもある

将来について調べていると、「好きなことを仕事にしよう」「やりたいことを見つけよう」という言葉を目にすることがあります。
もちろん、好きなことを仕事にできる人もいます。でも、全員が「これが大好きだから仕事にしたい」と思えるものを持っているわけではありません。

映画を見るのは好きだけれど、映画業界で働きたいわけではない。旅行は好きだけれど、旅行会社に入りたいわけではない。服は好きだけれど、アパレルの仕事がしたいわけではない。
「好き」と「仕事にしたい」は別でもいいのです。

むしろ、「どのような働き方なら無理をしすぎずに続けられそうか」「どのような環境なら自分が力を出しやすいか」という視点から考える方法もあります。

「何になりたい?」ではなく「どんな毎日がいい?」と考えてみる

将来の夢がわからないときは、職業から考えるのを一度やめてみてもよいかもしれません。
代わりに、「どのような毎日を送りたい?」と考えてみます。

例えば、いろいろな人と会う毎日がいいのか。一人で集中する時間が多いほうがいいのか。比較的決まった時間に働きたいのか。働く場所の自由度を重視したいのか。都会で暮らしたいのか。自然の多い場所が好きなのか。仕事以外の時間をしっかり持ちたいのか。仕事に熱中できる環境を求めているのか。

こうした答えも、将来を考えるための大切なヒントです。
希望する暮らしのすべてが実現できるとは限りませんが、「職業」から将来を決めるだけではなく、「暮らし」から仕事を考えるという順番もあります。

「絶対にやりたくないこと」から考えてもいい

やりたいことを聞かれると何も出てこないのに、「できれば避けたいことは?」と聞かれると、意外と答えられることがあります。
毎日同じことだけをするのは苦手。人前で話し続ける仕事は負担が大きそう。数字だけをずっと見る仕事は自分には合わないかもしれない。転勤が多い仕事は避けたい。反対に、一日中デスクにいる仕事は合わない気がする。

「避けたいことから考えるのはネガティブなのでは?」と思うかもしれません。でも、自分が負担を感じやすい環境を知ることも、自分を理解する一つの方法です。

ただし、経験する前のイメージだけで「絶対に無理」と決めると、選択肢を狭めすぎてしまうこともあります。「今のところは合わないように感じる」「実際の仕事内容をもう少し調べてみる」と、少し余地を残して考えてみましょう。

やりたいことが100個ある必要はありません。「これは違うかもしれない」を一つずつ確かめていくことでも、選択肢は整理されていきます。

夢がある友達と比べすぎなくていい

大学には、早い段階から進路を決めている人もいます。「高校生の頃からこの仕事がしたかった」「この会社に入りたくてこの学部に来た」と話す人もいるでしょう。
そんな人を見ると、「自分には何もない」と感じるかもしれません。

でも、将来の方向を決めるタイミングは人によって違います。
大学で見つかる人もいれば、就職してから新しい関心に気づく人もいます。一つ目の仕事を経験して、「自分がより関心を持てるのは、こちらだった」と気づく人もいます。

早く決めることだけが正解なのではありません。必要な期限や条件は確認しながら、自分が納得できる方向を少しずつ探していくことが大切です。

夢を「一生続けるもの」にしなくていい

夢を決められない理由の一つに、「一度決めたら、ずっとそれを目指さなければならない」という感覚があります。

でも、大学生の今考えていることが、30歳、40歳になっても同じとは限りません。
今は広告に興味がある。数年後には教育に興味を持つかもしれない。その後、別の仕事に関心が移るかもしれません。

興味が変わることは、それまでの選択が失敗だったことを意味するとは限りません。経験が増えたことで、新しい選択肢が見えるようになったとも考えられます。

だから今決めるのは、「人生の最終的な答え」ではなく、今の自分が次に少し進んでみたい方向くらいでもよいのです。

やりたいことを探すなら「小さく試す」

やりたいことがわからないときは、関心のあることを無理のない範囲で小さく経験してみる方法があります。
気になる授業を取ってみる。興味のある会社の説明会を聞いてみる。普段とは少し違うアルバイトの業務を経験してみる。インターンシップや仕事体験について調べてみる。大学のイベントに参加してみる。関心のある分野の本を一冊読んでみる。経験者に話を聞いてみる。

重要なのは、その経験を「将来の仕事に直接つながるかどうか」だけで判断しないことです。
やってみた結果、「思っていたより楽しかった」も情報です。「あまり興味を持てなかった」も情報です。

経験するたびに、自分の中に「好き」「苦手」「興味がある」「これは少し違う」という情報が増えていきます。

「夢探し」より「自分の反応集め」をしてみる

将来の夢がないときに試せるのが、「夢を見つけよう」とするのではなく、自分の反応を集めることです。

例えば1週間、スマホのメモに「少し気になったこと」を残してみます。
授業で聞いたテーマがおもしろかった。友達から聞いたアルバイトが気になった。SNSで知った仕事がおもしろそうだった。この人の働き方がいいと思った。この会社の商品は好きだけれど、働き方は自分の希望とは違うかもしれない。

こうした小さな反応を集めていくと、自分が何にひかれているのかが少しずつ見えてくることがあります。

いきなり「夢」を探すより、自分が何に関心を持ち、何に負担を感じるのかを知るほうが、将来を考える材料になるかもしれません。

「やりたいこと」だけでなく「大切にしたいこと」を探してみる

将来を考えるうえでもう一つヒントになるのが、自分が大切にしたいことです。
安定した生活がほしい。いろいろな場所へ行きたい。誰かの役に立っている実感がほしい。新しいことに挑戦したい。家族との時間を大切にしたい。自分の時間を持ちたい。
これらは職業名ではありません。でも、仕事や会社を選ぶときの大切な基準になります。

同じような仕事でも、組織によって働き方や文化は違います。「何をするか」だけではなく、「どのような環境で働きたいか」「仕事を通じて何を大切にしたいか」を考えてみることで、自分に合う方向が見えてくることがあります。

ただし、希望する条件をすべて満たす仕事があるとは限りません。何を特に大切にしたいのか、優先順位を考えてみることも必要です。

一人で考えてもわからないときは、誰かと整理してみる

自分のことだから、自分一人で答えを出さなければならないと思うかもしれません。でも、一人で考え続けるほどわからなくなることもあります。

そんなときは、友達や家族に「自分はどのようなときに楽しそうに見える?」と聞いてみたり、大学のキャリアセンターでこれまでの経験を一緒に整理してもらったりする方法があります。誰かに進路を決めてもらうためではありません。自分だけでは気づかなかった見方や選択肢を増やすためです。

また、何に対しても興味や喜びを感じられない状態が長く続き、気分の落ち込みや睡眠・食欲の変化などもある場合は、進路だけの問題ではない可能性もあります。その場合は、大学の学生相談室や保健センターなどへ相談することも考えてください。

小さな一歩から始めてみましょう

将来の夢がないと感じているなら、今日「夢を決める」必要はありません。
まずスマホのメモに、3つだけ質問を書いてみてください。
「最近、少し楽しかったことは?」
「最近、少し気になったことは?」
「これは自分には合わないかもしれないと思ったことは?」

そして、それぞれ一つだけ答えてみてください。
例えば、「友達の旅行計画を考えるのが楽しかった」「授業で聞いた心理学の話がおもしろかった」「一日中同じ作業をするアルバイトは苦手だった」。そのくらい具体的なことで十分です。

それをすぐに「じゃあ旅行会社」「じゃあ心理職」と職業へ結びつけなくても構いません。まずは、「自分はこういうことに反応するんだ」と知ることが大切です。

夢は、突然、頭の中に完成した形で現れるものだけではありません。いろいろな経験をして、自分の反応を集め、「これは好き」「これは違うかもしれない」と確かめる中で、少しずつ輪郭が見えてくることもあります。

大学生の今、人生の答えが決まっていなくても不自然ではありません。「何になりたいか」がわからないなら、「どのような毎日を送りたいか」「何を大切にしたいか」から考えてみる。

後期が始まる時期は、これからの大学生活や就活について考える機会も増えます。だからこそ、必要な予定は確認しながらも、急いで一生の夢を決めるのではなく、まず自分について知るための材料を一つ増やしてみてください。
今日、「少し気になる」と思ったことを一つメモする。そこから始めてみましょう。

パソコンを開いて何かを思い浮かべている女性

MeWithを運営するMinds1020Lab(マインズテントゥエンティラボ)は、「なんとなく生きづらい」「心がモヤモヤする」と感じる10代・20代に寄り添いながら、心のはたらきについて研究しているチームです。

将来のことや友人関係、自分自身の悩みなど、学生が抱えやすい不安やモヤモヤを少しでも軽くするためのヒントを発信しています。詳しくはMeWith公式サイトをご確認ください。

心理学監修:横浜市立大学医学部 客員教授/中央大学文学部 教授 髙瀨堅吉
学生生活や人間関係など、若者が抱える悩みについて、心理学の視点から記事内容を監修しています。